校長挨拶集

平成16(2004)年度   平成17(2005)年度

平成14(2002)年度   平成15(2003)年度

 本の題名に「校長は講話で勝負する」というのがあったが、まことに校長の仕事は挨拶である。学校で行事があれば、ほとんど必ず「校長挨拶」というのがある。全校の生徒と教職員が聴いている。ときには保護者や来賓も聴いている。自分が聴く側だったときには、「この校長は挨拶がうまい」とか、時には失礼ながら「この校長は下手だな」とか、校長評価をしながら聴いていたものである。ということは自分も挨拶するたびに校長評価をされていると覚悟しなければならない。

 私は、しゃべることは苦手である。と言うと、私を知っている人は「嘘ぉー!」と言ってくれるかもしれないが、つまり、人前に出るとあがってしまって、しゃべれないという意味で苦手なのではない。人前でしゃべることは大好きな人間である。もとは授業中しゃべりまくる社会科の教師だったから、人前でしゃべると、嬉しくなって、あとからあとから言葉が口をついて出るタイプの人間である。しかし、このタイプの人間の挨拶は、要注意である。ついつい調子に乗って長くなる。自分じゃ気分良くしゃべっているが、聴いている側には「冗長で退屈な挨拶」というやつになりがちである。

 思いに任せてしゃべるとダラダラと長くなるので、必ず、挨拶原稿を作ることにした。原稿を頭の中に叩き込んでしゃべれればカッコもいいのだが、校長職も忙しいので、原稿を作るのはどうしても直前になってしまう。うろ覚えで登壇して、原稿の言葉を思い出せないと、また勝手な思いつき話になって長くなってしまうから、原稿を持って登壇することにした。原稿をまるきり読んでしまうと、棒読みになって気持ちが伝わらないから、できるだけ話しかけ調でしゃべるようにはしているが、必ず、原稿通りに挨拶することにしている。原稿をビシッと簡潔に作っておけばダラダラ挨拶にはならない。

 しかし、挨拶というのは難しい。「挨拶は短く、幸せは長く」ってやつで、短ければいいとは言いながら、全校の生徒と教職員をわざわざ体育館に集めておいて、まさか「おはようございます。元気で頑張りましょう。はい、おわり」というわけにもいかない。これでは生徒も教職員も「ちっとは校長らしいこと言えんのかい!」と怒ってしまう。短くビシッとした中に「校長らしい気の利いた話」をしなければならない。そういう思いで書いた挨拶原稿を、自分を戒める意味で、ここに公開することにしたが、校長挨拶というものは、校長としての教育方針とか学校経営方針とかが込められているわけで、そういうものも読み取っていただければ幸いである。


2002年3月に2年次生と訪れた韓国の世界遺産・仏国寺
(マウス・ポインタを乗せると山門が見えます)